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只今、ブログ工事中です。
こちらの「ハルと音」は小説のみとし、
それ以外の詩などは「ハルと音と色」へと、
引越しさせて頂きます。
今後も、詩やつぶやきに関しては、
「ハルと音と色」へと書き込みますので、
よろしくお願い致します。


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白い君と僕の青 8
2008-10-02(Thu) 04:33

自分の耳を疑った。
歌い手の存在を知っていても、決してその人が誰か分からない様、
城の一部の人間以外、知らされない様になっていた。
それがたとえ、国王の息子でも。

この国では、音楽とは職業としては殆ど扱われていない。

蛇口をひねれば水がでる。

そんな感覚で歌というものは、国に存在し、同じ様にラジオをつければ流れ、そこに“お金”というものが聞き手に絡むことはなく、
“歌い手”と“聞き手”とは、ほぼ無縁の存在となっている。

歌う者は、国が決めた者のみが歌い、報酬も決まった額を国から貰う仕組み。
額そのものは、決して良いものではないが、確実に報酬を得られる。

歌はあくまでも、庶民の娯楽として、一般には無償と言える程の金額で存在している。
どんな音楽も、欲しいと思えば、皆が手にしていてもおかしくないないぐらい。


しかし歌い手、団体など、どういうものか一般にはあまり知られていない。


『家まで、歩いて頂くことになります。
 少しですが、お返しも用意しています。どうかお願いいたします』

そう言って、コトと名乗った女性は頭を下げた。


それでもまだ、少し疑っていた。
コレが城の手の者だったら?
もしくはそれ以外の罠だったら?


腰のベルトに掛けてある携帯用のナイフを確認して答えた。

「分かった。案内してもらえるかな?」

『あ、ありがとうございます!!』

顔は見えない暗闇の中、コトは深々と頭を下げた。
その姿を見て、城の者ではないと、ハルは思った。


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白い君と僕の青 7
2008-10-01(Wed) 03:54

初めて城を抜け出して、2週間が過ぎようとしたある日の晩、
今晩もいつも通り監視の目をすり抜け、
居酒屋へと向かう途中、
駆け足で向かうハルの前に、誰かが立っていた。

暗くて、男なのか女なのかわからない。
ただ、自分よりも小柄なことは分かった。

「・・・誰だ・・・」

城の者だと連れ戻される。
下手な言葉は禁句だ。

『お急ぎのところ、申し訳ありません』

女の人の声だった。
自分と同じくらいの歳のような感じがした。

「何か用か?」

まだ、誰か分かった訳ではない。

『私の名前は、コトと言います。
 お願いがあって、ここであなたを待っていました』

「お願い事?」

何となく城の人間でないような気がした。

『はい。出来れば、私の母の所で、歌ってはくれませんか?』

思いもしないお願い事に、少し驚いた。

「母親?お前の?」

『はい。母は、病を患っており一人で起き上がることが出来ません。
 ただ、ベッドの上に寝ているだけの状態です。
 そんな母は、若いころ、歌でお金を稼いでいたのです。
 ですから、昔の歌を聞いたら、何か変わってくれるのではないかと思い・・・』

「歌でお金を稼いでいた?」

『はい。母は歌い手でした』



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白い君と僕の青 6
2008-09-30(Tue) 03:24



「ハルカ様!!何処へ行っておられたのですか?!」

案の定の雷が落ちてきた。

「いや。。。ちょっとそこまで・・・」

泳ぐ目を止められず答えた。

「しかも、お酒臭いし、またそんな格好で!!」

「いや・・・これは・・・・・」

正装などで歩いたら、それこそ大変だ。

「もう、こっちは、心配したのですよ!!
 見回りの兵が、ハルカ様が寝室にいらっしゃらないというから!」

「・・・・ごめんなさい・・・・」


もう、朝日が昇り始める時間帯になっていた。
さっきまでの出来事が、夢のようで、実感に欠ける感じがしたものの、
メイドの怒りと、この自分に、まとわりつく酒の臭いで、現実なんだと確信する。



それからというもの、毎晩城を抜け出しては、
いつもの居酒屋へとギターを持って行った。
お金は持っていなくても、歌がお金代わりだった。


初めて知った城の外。
こんなにも楽しい世界。
自分の歌を、ギターを楽しそうに聞いてくれる人たち。
決して遠慮などせず、タメ口で話してくれること。
何もかもが嬉しく、楽しくてたまらない。


けれど、まだ知らなかった。

これは、城の外の一部分だということ。


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白い君と僕の青 5
2008-09-29(Mon) 03:26
「しっかし、にーちゃん、細い体してんなー!!
 ちゃんと食ってんのか?!ホレ!食え!!」

そう言って、自分を輪の中に入れてくれたおじさんが、
食べ物を、どんどん自分の前へ持ってきた。
豪快というのだろうか。
大皿に、どかんと沢山の料理がのっているのを初めて見た。
見るもの全てが新鮮だった。

「あ・・・でも、俺、お金持ってなくて・・・・」

ボソッと呟くと、

「いいからいいから食え!!さ!!」

そう言って、皿を並べたおじさんがハルの背中を叩いた。

「とー・・・ん?何しょってんだ?コレなんだ?」

人の背中を叩いたのに、変な感触に驚いて言った。

「あ、ギター。ギター大好きで!!」

「お!!何か一曲歌ってくれよ!!」

誰かの言葉で、一気にその場が盛り上がった!!
飛び交う声に、拍手の山。

「何の曲が良いですか?」

ご機嫌に、ギターを準備しながら言った。

「何でもいいぞー!!楽しい歌で、俺たちが知ってるやつならなぁ!!」

「・・・(何でもよくて、楽しくて、おじさんたちが知ってる歌?!
めちゃくちゃだなぁ)」

心の中で笑いながら、昔の曲で明るい曲を、頭の中でめぐらせ、
ギターを抱え、立ち上がった。

「では、この曲でいかがでしょう?」

自信満々の笑顔で言った。


ハルが歌いだしたのは、30年ぐらい前、流行った歌だった。

なぜ、城の中にいて、厳しい監視状態のハルが知っていたかというと、
クリスに頼んで、いろいろと持ってきてもらい、
全部、暗記、暗譜していたからだった。

昔、流行った歌、最近の曲すらも、殆ど把握していた。


ハルがギターを掻き鳴らし、歌いだすと、
元々高かった、おじさんたちのテンションがさらに上がった。
もはや、お祭り騒ぎだった。

「じゃぁー次、アレ歌ってくれ!!」
「いや!!違うのだ!!」

もはや、何を、どの順番で歌うかで、小さな騒ぎになっていた。


そんな光景を眺める、人がいたことに、
そのとき、まだハルは気づかなかった。


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白い君と僕の青 4
2008-09-28(Sun) 01:26

時計の針が夜の12時を回った頃、
ハルは門番の目を盗んで、城外へ走って行った。

「・・・・・(やった!成功!!こんなとき、運動神経良かったとか思う!
 ・・・考えれば、勝手に外に出たの初めてかも)」

いつもの動きやすい格好をして、背にはギターを背負って、街中へ向かった。

「って、やっべ!!俺、金持ってないし!!」

国王の血を引く者が、買い物をすることもなければ、持つ必要もなかった。

「・・・・・(どうして金をかせごうか・・・これじゃ、なにも買えないし・・・)」




街中に着くと、そこは今まで見たこともないくらい、楽しい世界が広がっていた。

お酒片手に、大声で叫ぶおじさんたちに、料理を運ぶエプロンがよく似合うおばさん。
若い人も、お年寄りも、楽しくワイワイ騒いでいた。
夢のような光景だった。

その光景にボーっと見とれていると、1人のデカイおじさんが話しかけてきた。

「なんだ、にーちゃん!見かけない顔だな?!」

ガハハと、笑いながら、ハルの肩を掴んでテーブルの輪の中に連れ込んだ。

「あ・・・今日、ここへきました!!ハルっていいます!!!」

この上ない笑顔で半分嘘を答えた。

「そうかそうか、ハルって名前か!さ、飲め!!
 俺がハルの分はおごってやるからよ!!」

「まーたそうやって、奥さんに怒られるわよ!
 新人に、飲ませて、金ないんだろうって!」

店の奥から、料理を持ってきた、この店のおばさんが言った。

「あら、かわいい子ね。何歳?」

「お前、いい年したばばぁが若い奴ナンパしてんじゃねーぞ!!!」

どこからともなく声が聞こえてきた。

「うるさいわね!!年齢くらいいいじゃない!!ね?」

振り向きながらそういう、この店のおばさんに正直に答えた。

「17歳です」

「キャー!!若いっていいわねぇぇぇ!!!」


そういいながら、また店の奥の調理場に戻って行った。
そんな後姿が、たまらなくおもしろかった。


初めての世界。



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