春の一日 31

31

「うう……ん?」

携帯のアラーム音で目を覚ますまで熟睡していたのは俺の方だった。

布団が掛けられていたが、まったく気づかなかった。
隣で寝ていたはずの石川もいない。

いつのまにかテーブルに置かれていたメガネをかけてキッチンを見ると、
エプロンをした石川が立っていた。


「おはよう、早いね」

ダイニングテーブルには皿に盛られて食べるばかりに用意されたおかずと、
彼女のお弁当箱が置いてある。

「おはよう、昨日はごめんなさい」

「いいよ、そんなの」


おいしそうに出来上がっている朝ごはんを長い前髪をかき上げながら眺めてると、
すでに彼女が出かける用意が出来ているのに気付いた。


「準備早くないか?」

「うん、もう行くから」

「え?!」

まだ7時を過ぎたばかりなのに、早すぎる。

「今日は月1の掃除当番だから」

「……あ!そうか!」


今月の月1掃除は石川だった。
すっかり忘れていた。

「うわ、悪い、いま準備してくる!」

「え?なんで?!いいよゆっくりしてて」

「送るよ。どうせ俺も早番だし」

「そんな!いいよ!」

「いいから!俺が準備する間にそれタッパーに詰めてて」


短時間で身支度を整えるのは得意中の得意。
15分で用意をすませた。

「さて、行くか」

カバンとコートを手に、
窓の鍵を確認し電気を消した。

「すごい早い……」

「俺先に行って車のエンジン暖めるから、
 玄関の鍵かけてきてくれるかな?」

「はい」

店に着いたらFAXとメールチェックしながら朝食をとって、
今日の仕事を確認して……やることは山ほどあるが、
定時で上がってヒーターを買いにいかないと。


車のエンジンをかけて暖房の調節していると、
パタパタと足音を響かせながら、
カバンと紙袋を手に石川が走ってきた。

「どうして起きたばっかりでそんなきびきび動けるの?」

助手席に座りながら、息の上がった声で言った。

「うーん、慣れかな?」

「えぇ?慣れ?」

「うん、アラームなったら飛び起きてすぐに走れるよ」

「それはすごい」

「あははは、さて行きますか」


大きく息を吸って、まぶしい朝日に目を細めながら車を走らせた。


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| 「僕の一日」  | 00:24 │Comments0 | Trackbacks0編集

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