春の一日 30

30

映画に集中していた石川の身体が揺れ始めたのは、1時間を過ぎたあたりだ。
力を失くしてカクンと前に倒れそうになる。

子供がアニメを見てる途中で落ちる姿とまったく一緒。

そのままソファーに寝かせて、彼女の部屋から布団を持ってきてかけてやった。


7時まであと1時間半、俺も眠ろう。

「ふぅ……」

こんな生活がいつまで続くのか。
俺自身、この生活を続けたいのか。

自分でもよくわからない。


ただ、手放したら何かしらの後悔はする気はする。


慌ただしくも俺に見合った生活があって、
万年寝不足の身体を引きずって働くことも悪くない。
そのうち、そうなっていく。

こんなことしていられるのは今だけだ。


寝息も立てずに眠る女を眺めながら、
仕事漬けになる日々を考えるなんて、不健康すぎる。

石川の耳にはピアスホールの痕が残っていた。
綺麗に治らなかったか。

「……また開けてやろうか」

髪の隙間から見える耳に触れる。
冷たい。

「……ん……」

「悪い、起こしたか」

「あれ……」

うっすら目を開けテレビの方を見つめる。

「進んでる」

「そりゃあね、続きはまたあとで。いまは寝なさい」

「……はい」


大人しく目を閉じる彼女の頭を撫でながら、
深い眠りにつくまで隣で映画を見た。


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| 「僕の一日」  | 17:06 │Comments0 | Trackbacks0編集

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