春の一日 20

20


大失態にへこみながらも、シャワーを浴びてひと眠りした。
11時半に起きて、彼女が作り置きしてくれていたごはんを温めて食べ、仕事に向かった。
今度は雑貨屋のほうだ。


出社してすぐに店長から買い物を頼まれる。
クリスマス関連のものを有利くんと買ってきてほしい、とのこと。

「クリスマスソングが入ったCDがどうしても見つからないんだよー」

と泣きそうな顔で言っていたが、店長が物を失くすのはいつものことだ。
どうせ適当にしまって、適当なところに紛れて、適当なところで眠っているんだろう。
前に「俺のタイムカードがない!」と騒いだことがあったが、
翌月に家で読んでいる本に挟まっていたと告白された時には、
開いた口がふさがらなかった。


このあたりでCDショップは一カ所しかない。
知り合いが働いているから行きたくなかったのだが仕方がない。
見た目も強烈で子供が見たら泣き出しそうなぐらい強面でマッチョで地黒の190センチの大男。
とにかく、イカツイ。

休憩中であってくれと、心の中で願っていたが、
あっさりと見つかってしまう。

この人が嫌いなわけじゃない。
一時は仲良くしていたし、面倒を見てもらっていた。
でも、今の俺にはこの人の存在が羨ましすぎて、
自分が情けなく思えてしまうから、連絡を取らないようにしていた。


好きなことを仕事に出来る人は一握りしかいない。

やりたいことを仕事に出来る人が羨ましかった。
俺もあんな風に好きなことを仕事にしたいと思った。


決心したのは28歳のとき。


期限付きではあるが、念願の販売の仕事に就けた。
それだけで嬉しかった。
そのときの気持ちを忘れたことは一度もない。
だからこそ、この先もずっと好きな音楽に関わる仕事を続けるだろうこの人に、
会いたくなかった。

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| 「僕の一日」  | 17:04 │Comments0 | Trackbacks0編集

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