僕の一日 56

帰り道、車の中でもう一つ聞いてみた。

『女性に付き合った人数を聞かれたとき、正直に答えたりしますか?』

「うん。本当に知りたい?って確認してから、答えてるよ」

それを聞いてもやっぱり付き合いたいと思うところが、斉藤さんのすごさとしか言いようがない。
これが他の人だったら、単なるヤリたいだけの男と思われる可能性が高い。

「まぁ、最近は誰とも付き合ってないけどね」

『そうなんですか……』

なんというか、色々確認しなくてもやっぱりすごい人だ。
色々と。


「和哉くんは今まで何人と?」

『え?!』

「ん?だから付き合った人の数」

『えーぇー・・・・・・とですね・・・・・・』

まさかの質問に、軽くパニックになる。

「まさか付き合ったことないっていうことはないでしょう?
 それだけカッコよければモテるでしょうに」

『あー・・・・・・まぁ、何回かは・・・・・・』

「ふーん」

『付き合ってるとき……』

「ん?」

『付き合ってるとき、本当にその人のこと好きでしたか?』

聞いてみたかった。
斉藤さんのようなひとが、誰かと付き合って、誰かを心底必要とすることがあるのか。
親兄弟ではない他人を、本当に好きだと思うことがあるのか。

「そうだね……正直言うと、本気でそう思ったことはあんまりないかな」

口調も、トーンも変えずに言葉を続けた。

「まわりがどう思ってるかは知らないけど、俺はあまり他人を必要としない人間なんだよ。
 性別問わずね。友達も彼女も、どうしても欲しいと思ったことはない。
 その場のなりゆきで関係を持つけど、それを長く続けようと思うことは少ないよ。
 だから彼女になった人はそれを感じて、電話やメールをたくさんしてくるんだろうけど、
 分かっていながらも、それが重いと感じちゃうんだよ。
 相手の束縛が苦痛になったら、一緒にいる意味がないからね。
 そういうことの繰り返しかな」

斉藤さんに必要とされる人はどんな人なんだろう。
さっき言っていた通り、バリバリ働いていてひとりで生きていけるような、
そんなひとなのだろうか。
他人を必要としない自立した女性を、斉藤さんが必要だからと束縛するのだろうか。

「お待たせ、着いたよ」

考えているうちにマンションの前まで着いていた。
夕飯を奢ってもらったうえに、部屋まで送ってもらうなんて、
まさに彼女のような扱いではないか。

『いろいろありがとうございます』

「明日も仕事だよね?今日は早く休むんだよ」

『はい、ありがとうございます』

車のドアを開け外に降りると、運転席からこちらを覗き込みながら斉藤さんが言った。

「身体がキツイときは早めに電話もらえる?
 明日は朝から店にいるから」

『わかりました。色々ありがとうございます』

「ゆっくり休みなさい。
 目も疲れてるだろうから」

『え?』

「疲れると視力も下がるよ。
 あんまり良くないでしょ?視力」

『俺、言いましたっけ?』

「いや、なんとなく」

『……すごいですね』

「俺も目は悪いから、視力が低い人の目の動きぐらい見ればわかるよ。
 とにかく今日はゆっくり休むこと。
 久しぶりに働いたから思ってるより身体はビックリしてるからね」

メガネを右手で押さえながらニッコリと笑った。

『はい。ありがとうございました』

「おやすみ」


車から降りて軽く頭を下げると、小さく手を振って来た道を戻って行った。
食事をおごってくれたこと、ここまで送ってくれたことに感謝しながらも、
彼に見透かされていることに言いようのない恐怖心が生まれていた。


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| 「僕の一日」  | 00:05 │Comments2 | Trackbacks0編集

コメント

同じ姓のせいもあるのか、斎藤工さん(ごぞんじでしょうけど、俳優の、です)を見ていると、ハルさんのストーリィの斎藤さんが思い出されます。

私は小説のキャラとしたら、斎藤さんみたいな男性は大好きですよ。悪いイメージはまったく持ちません。
小説のキャラとして嫌いな男っていうのは……男というよりも、男に都合のいい女が嫌いです。

彼女のほうも納得して男と遊んでる女だったらいいのですが、男の犠牲になることを美徳とする、つくして見返りも求めない。
浅田次郎氏の小説によく、そういう女が出てくるのですね。ああいう女は大嫌いだぁ。

と、あまり関係のないことを書いてしまってすみません。
たぶん小説の場合はキャラの男性には点が甘いので、斎藤さんにも悪い印象はないと言いたかったのでした。

だけど、実際にこんなひとが身近にいたら、なんだかんだ議論を吹っ掛けたくなって嫌われるでしょうね。
「俺のそばに寄らないでくれる?」なんて、はっきり言われそうです(^^;

2013.12.01(Sun) 00:38 | URL | あかね|編集

あかねさま
斉藤さんならきっと優しく笑顔で聞き流してくれます!
・・・・いや、笑顔でサクッと傷つくことを言うかもしれません……。

斎藤工をずっと「さいとうこう」と読んでいました。スミマセン。
出演しているドラマを見たことがなくて、ざっくりとした感じでしか覚えていませんでしたが、
検索してみると、色んな髪型をしている人なのですね。
斉藤さんもいろいろと髪型をいじる人なので、これから髪型は斎藤工をモデルにしようかと思います。
色っぽい、と言われているところも似ています。
斎藤工の画像からいまの斉藤さんに近い髪型がコチラです↓
http://matome.naver.jp/odai/2135768163629592701/2136797735009132203
これをもうちょっとだけ長くして、襟足部分の長いところをちょこんと結んでメガネ書ければ斉藤さんの出来上がり☆
あ、窪塚洋介の髪型も捨てがたいです!

斎藤さんに近づく女性の半分はあかねさんの嫌いなタイプかもしれません(笑
つくして必死になって、けど斉藤さんは特にそれを求めてるわけでもなく、
むしろ「めんどい、重い」と思って、サヨナラとなってしまう。
つくすことは良いのですが、そんな自分に酔っちゃう人はイタイです。

・・・
・・・・・
・・・・・・石川さん!大丈夫か?!?!

2013.12.03(Tue) 01:16 | URL | ハル|編集

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