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僕の一日 52


間違いなく相手の心の奥をついてくる。
斉藤さんの得意とするところだと、働き始めて間もなく気づいた。

「続きだけど、石川は優しくていい人なんだけど、人を追い詰める時がある。
 それに本人も相手も気づいていないことが多くてね。
 石川が特別に優しくすると、そのせいで相手が身動きが取れなくなる時があるんだ」

言いたいことがよくわからない。

「優しくすることはいいことなんだけど、度が過ぎると相手を縛ることもある。
 石川の場合はその優しさで助けているつもりなんだろうけど、
 相手の行動範囲や思考を制限しているときがあるんだよ。
 それに気づいたことはない?」


ズキンと左胸が痛むのが分かったが、ごまかすように笑顔で「はい」と返事をした。

そういう意味か。


優しさが相手を縛るなんて思いたくない。
誰だって優しくするときは相手のことを思っているはずだから。


でも、その優しさが時には行動や思考に制限をかけるときがあると知っている。

精神的に病んでいる人間は他人と接触を極端に避けることが多い。
何も考えたくなくなってしまう。
ひたすら他人との距離をとり、壁を作り自分の居場所を守ろうとする。
そうしてできた空間は居心地が良い。
何も考えずにただ自分の中に籠っていればいいのだ。
誰からの干渉も受けず、傷つくこともない。
相手はその優しさから否定的な言葉をかけてこない。
その庇護のもとオブラートに包まれるように相手に甘え、
現状を打破することを先延ばしにする。

そのときは自分も相手もそれで良しと思ってしまう。
痛みがない時間は誰にとっても優しいものだ。
優しくしてくれる相手も、
目の前の人が傷つき辛い状態を見ずに済んでいることに安心するのだ。

けれどそれは本当の優しさではない。
落ち着くまでの一時、その優しさは大事だが、
それ以後は状況を変えるための足かせにしかならない。
そこを見誤ると問題が長期化する。

根本的な解決になっていないのだ。

まさにそれが今の自分と彼女との関係。
辛いときには彼女が来てくれると、心のどこかで期待して、
自分をどうにかしようと努力をしていない。


斉藤さんはそれを見抜いていたのだ。


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| 「僕の一日」  | 23:45 │Comments2 | Trackbacks0編集

コメント

わかる気がしますね
石川さんって有利くんに優しくしている、あの彼女ですよね。
心づかいがこまやかないいひとだけど、時として彼女のふるまいはわずらわしいのではないかと、最初から思っていました。
こんなふうに考える私って歪んでるわ、とも思っていました(^^;

だけど、斎藤さんもやっぱりそう思ったんですね。
書いておられるハルさんも、そうそう、そうだよね、と思っておられます?
小説って必ずしも、自分の考え方ばかりを肯定するわけでもなくて、だけど、ひとつの思想を書くと、この著者はそんなことを考えてるのか、と思い込まれてしまったりすることも、ありますものね。

私もそれで、昔は友人に、あかねさんのこの思想は……と言われ、私はこうは考えてないよ、と言っても信じてもらえなかった思い出があるものでして、つい気になってしまいました。

あ、ハチミツとクローバはタイトルだけしか知りません。漫画ですよね?
面白いですか。読んでみようかな。

2013.10.18(Fri) 00:23 | URL | あかね|編集

あかねさま 
そうです「あの彼女」は石川です。
私だったら正直うっとうしいですね……ごめんね石川さん……。
具合が悪い時にご飯をもってきてくれる、というのは助かりますが、
それ以外のときは来てほしくない、と私は思ってしまいます。
気にかけてくれることはうれしいですが、電話ぐらいがちょうどいいです。
あかねさんと同じく、過剰ともとれる石川さんのお節介をとてもイイこと、とは思っていません。
人にはそれぞれ感じ方も違いますしね。

ハチミツとクローバーは映画を見てからゲオでマンガ本をレンタルして読みました。
美大に通う学生たちのお話なのですが、それぞれの心理をうまく表現していて、
「あぁ、そうだよね」と共感できるキャラが出てきます。
この漫画は大人が読んでも楽しめます。
ぜひぜひ読んでみてください。
損はしません!!

2013.10.19(Sat) 02:27 | URL | ハル|編集

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