僕の一日  22




音をたてないように家のドアの鍵を閉める。

暗い部屋にはカーテンの隙間からわずかに朝日が入っていた。

自分の部屋なのに、
自分の帰る家がココなのに、
自分はココにいない。


夜の仕事も終わり、朝早い電車で家に帰る。
煙草の匂いを染み付かせ、合わない酒で胃を悪くさせて、
帰った家で待っているのは、ただの沈黙だけ。


ため息をつきながら台所へ向かう。
蛇口をひねって手を洗った。

『・・・・・・』

なんだろう。
いつも違う。

水がお湯へ温まる時間が早い。
いつもなら手を洗い終える頃に、やっと水が生温いお湯へと変わる程度なのに、
今日はすぐに温かいお湯が出てきた。

蛇口を閉めて、部屋を見渡す。


かすかな空気は確かにそこにあった。



濡れた手はそのままで、足早にソファーへと向かう。
テーブルの上にはメモ紙が置いてあった。


メモ紙に書かれた文章からは、すれ違いで彼女がこの家を出たのが分かった。
さっきまで彼女はココにいた。


もう一本早い電車で帰ってたら会えただろうか。


きれいにたたまれた毛布に目をやる。

今日は俺も彼女もバイトだから、あと数時間後には会える。


でも。
それでも。

今、会いたかった。


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| 「僕の一日」  | 23:18 │Comments2 | Trackbacks0編集

コメント

なんだか…
うわあああああっ、と悶えそうな良い感じの余韻。
そして、水道の温度の変化で人の気配を感じる。
ううむ、ある意味ケモノのようだ。

‘彼女’に
「でも。
それでも。

今、会いたかった。」

↑これに集約されますね。
女性はやはり女神であり聖母です。
そうじゃない女なんか要らん。

2012.02.08(Wed) 12:25 | URL | fate|編集

笑える感じにするなら、ムンクの顔で・・・

女は表裏ハッキリしてますからね。。。
とくに男絡みだと怖いなぁって思います。
たまに「怖っ」って思うぐらいのときが・・・うん・・・ある・・・

いや!
みんな人間ですから!
表裏あります!!

2012.02.09(Thu) 22:20 | URL | ハル|編集

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