僕の一日  21

冷めた目をした自分に気付く。
ピッタリとくっついて離れない自分の客の前でも。

絡みつく指も、香水の匂いも、自分に向けられる甘い想いも、
フィルターを一枚通してから理解している。
同じお店に、同じ人間を選んで来るということは、
何かしらのそういう感情があると分かっている。
その気持ちを利用することは、客だって店に来る時点で分かっているだろう。
互いの間に必ずあるのがお金だということも、言われずとも分かりきっている。

嬉しそうに笑ってくれているのに。
俺を指名してくれているのに。


本当はこんなこと、したくはない。


愛想笑いして、嫌いなタバコにまみれて、お酒飲んで。
自分に触れてくる女性たちを全員受け入れて。


こんなことしている自分が嫌だ。


それでも必要なものがある。
お金が欲しい。
必要だ。
ただ、それだけ。

それだけの理由なんだ。

逆に言うと、だから働けているのかもしれない。
仕事そのものへの思いなんて何もないから。
目的のためだけに、動くだけだから。


それでも時々、思う。

みんな、寂しいのかなって。


あさましい自分を感じるとき同時に、俺の隣へ来る女性たちの手を、
ただ、握ってやりたいと思うときがある。

俺を選ぶ理由やお金のことは抜きに、
こんな自分を必要だと思ってくれるだけで、
それだけで充分と思う自分がいるのも事実だった。


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| 「僕の一日」  | 19:19 │Comments3 | Trackbacks0編集

コメント

優しい人は、幸せになって欲しいなぁ・・・って思います。
↑これ、本当に本当に本当に思います。
特に、なんで? って‘死’に出会ったりすると。
それが物語の中であっても。

「みんな、寂しいのかなって。」
↑そうだと思います。
そして、それを感じる主人公が一番寂しいんじゃないかと。
寂しさを分かっているからこそ、寂しい人が寄ってくる。
そんな気がします。

でも、寂しい者同士だけじゃ、ダメだよ。
‘彼女’の強さ優しさ、そしてその明るさが必要だよ、と勝手に思ってしまいました…


2012.02.01(Wed) 08:49 | URL | fate|編集

はうぅ、ホロリと涙が零れそうです。
そんな風に深く考えてくれる人がいるなんて・・・(涙

この子は幸せかも。


・・・・幸せにするのも泣かせるのも私の心次第・・・

いじり倒してしまおうか・・・

2012.02.05(Sun) 23:14 | URL | ハル|編集

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2012.03.27(Tue) 19:23 | | |編集

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