僕の一日  19

色んな店の色んな看板があって、初めて来た人はきっと迷ってしまうだろう。
無数の建物がひしめきあっている。。
迷いもせずにその中のひとつのビルへと向かう。

狭い階段を2階まで上ってドアを開けると、いつもと変わらない様子でその人は座っていた。
大きな革張りのソファーに、大きなテーブル。
「まだそのソファーは早いだろう」、と世のサラリーマンが口をそろえて言うだろう。

たった3年で売り上げをトップクラスまで押し上げた凄腕の社長。
煙草がよく似合うその人はまだ30歳。
アルマーニで全身固め、自分は勝ち組だと疑わないその目と態度。
長い前髪をかき上げる仕草を、一日の間に何度も目にする。
自分はこうなりたくないと、心底思う。

「久しぶりだな。5日ぐらい会っていないな」

『・・・・・』

静かに部屋に入り、後ろ手にドアを閉めた。

『・・・すみません』

間を置いて謝罪の言葉を言う。
毎日来れない事は了承済みなのに、どうしてそういうことを言うのか。

「まぁ構わない。お前が真面目なのはココへ来たときから知っている。
 遊んでいたわけではないのだろう」

煙草を灰皿に置いて、腕組みをしながら続けた。

「ほかの人より日数が少ないんだ。頑張ってくれよ。
 うちの店のには君目当ての客が多いんだからな。“直哉”」

『はい・・・・』

目の色を変えずに呼ばれた名前に返事をした。

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| 「僕の一日」  | 00:56 │Comments2 | Trackbacks0編集

コメント

おや?
別の仕事も持っているんですか?

なんだか、思わぬ展開に、おお! と思いました。

2012.01.20(Fri) 10:25 | URL | fate|編集

彼を優しいいい子でいさせようと思っていたんですけど、
どうにもつまらない子になるかなと・・・(笑

伏線は最初に。

2012.01.26(Thu) 21:03 | URL | ハル|編集

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