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僕の一日 85

サラダを食べ終わり一息ついたところで本題に入った。

『昨日、はっきりとホストのことについて話したつもりだったから、
 もうお店には来ないと思ってたし、その方がいいと思っていたんだけど、
 今日はどうしてお店に来たの?』

「あ、あの、どうしても、また……」


最後の方はもごもごと何を話しているか聞こえないぐらい小さな声になり、
終いには顔を赤らめてうつむいてしまった。


前に似たような状況になったことがある。
あれは高校生のとき。

顔を真っ赤にして胸元を押さえ、なんとか押し出したかすれた小さな声で、
必死に告白をしてきたのは、名前も知らない同級生だった。
クラスの女子に呼び出された先にいたその人は、
話したこともない俺のことを、「入学式で見かけた時からずっと好きでした」、と言った。

どうして俺なんかに長い間そういう気持ちを持っていられるのか。
同じクラスになったことも話したこともない俺のなにを好きなのか。

顔で好きだの嫌いだのと言われているようで、あまり嬉しいとは感じなかったし、
恋人が欲しいとも思っていたなかったから、その場で断ったのを覚えている。


あの頃、まだ一目惚れなんて、信じてなかった。

でも今は、分かる気がする。


『うん』

促すように返事をする。

「み、美貴が、連絡先教えてもらったらって話した時……、
 それは友達になっちゃうからって、話を切ったけど、でも私……」

一生懸命に話をしているのが分かった。
必死に。

「ご迷惑じゃなければ、連絡先を教えてくださいっ。
 お店のお客としてじゃなくて、あの……」

だけど。

『……歩さんは僕の言った意味をよく分かってくれてると思う。
 だからこそこうして5時間も待ってくれたんだと思うけど、ごめん。
 お店に来てくれるから相手にするのであって、
 それ以外の人に番号を教えるつもりはないんだ』

お店の前で歩さんを見つけたとき、こんなことになるだろうと薄々感じてはいた。
でも本人から聞かずに決めつけることは出来ないし、
なにより一生懸命さが伝わってきた。
だからこうして会うことにしたんだけど……。

『男嫌いに関することなら別の手を探したほうがいい。
 もし僕のような人が大丈夫というなら、
 似たようなタイプの人を友達に紹介してもらうとか、
 ホストクラブになんか来なくても方法はあると思うんだ』


「……私は……」

何かを話そうとして、出かかった言葉を飲み込んだのが分かった。

面と向かって話すのが緊張するようなら電話で話す方法もあるけど、
番号を教えて男嫌いを治すのに付き合うことは出来ないし、
かといって客になって欲しくもない。
俺の自分勝手な考えをぶつけて傷付けてしまうなら、
突き放してしまえばいいのに、それも出来ずにいる。

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| 「僕の一日」  | 00:44 │Comments2 | Trackbacks0編集

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