2009.11.24(Tue)
君の名と 29
努力でどうにかなるものでないと分かっているのに。
それを言えと、酷いことを口にしていた。
「――うん。そうだね……今の医者の言うことは信じない」
転校生が呟いた。
「今まで言われてきたことは信じない。もしかしたら治っちゃうかもしれないし」
そう言って涙をためた顔で笑った。
「高校卒業は無理でも、普通の暮らしにもどれるかな。普通に、当たり前に生きていけるかな」
「……生きていけるに決まってるだろ。学校なんていつでもいいんだよ」
「そうだよね。通信とかあるし」
「――あぁ。だから今は治すことに専念してればいいんだ」
「うん……」
「外での出来事は俺が話してやる。知りたいことも俺が教えてやる」
「うん」
「俺が出来ることは何でもする。だから俺より先にいなくなるな」
「うん」
二度と見たくもない。
何も出来ず、ただ見ているだけなど。
もう、経験したくない。
「約束するよ」
右腕を上げ、細い指を差し出してきた。
約束の印。
細くて小さな小指は、かすかに震えていた。
「――約束」
折れそうなその小指と静かに指切りをした。
叶えられない、約束。
指切りしても、変えられない運命。
分かってる。
でも。
変えられない運命など、消してしまえばいい。
そして新しく自分で運命をつくってしまえばいい。
自分が望む未来をつくればいい。
そこに俺が手を貸してやれるなら。


それを言えと、酷いことを口にしていた。
「――うん。そうだね……今の医者の言うことは信じない」
転校生が呟いた。
「今まで言われてきたことは信じない。もしかしたら治っちゃうかもしれないし」
そう言って涙をためた顔で笑った。
「高校卒業は無理でも、普通の暮らしにもどれるかな。普通に、当たり前に生きていけるかな」
「……生きていけるに決まってるだろ。学校なんていつでもいいんだよ」
「そうだよね。通信とかあるし」
「――あぁ。だから今は治すことに専念してればいいんだ」
「うん……」
「外での出来事は俺が話してやる。知りたいことも俺が教えてやる」
「うん」
「俺が出来ることは何でもする。だから俺より先にいなくなるな」
「うん」
二度と見たくもない。
何も出来ず、ただ見ているだけなど。
もう、経験したくない。
「約束するよ」
右腕を上げ、細い指を差し出してきた。
約束の印。
細くて小さな小指は、かすかに震えていた。
「――約束」
折れそうなその小指と静かに指切りをした。
叶えられない、約束。
指切りしても、変えられない運命。
分かってる。
でも。
変えられない運命など、消してしまえばいい。
そして新しく自分で運命をつくってしまえばいい。
自分が望む未来をつくればいい。
そこに俺が手を貸してやれるなら。

| 「君の名と」 | 22:30 │Comments0 | Trackbacks0│編集│▲




